B01 ある夫婦のある朝の風景

1.

五代と響子さんが結婚して数ヶ月が過ぎた。
五代は毎朝響子さんに起こしてもらい食事を取り保育園に出勤する毎日だ。

「あなた、そろそろ起きてください」
響子さんが五代をいつものように起こす。
「んん……ああ響子、おはよう」
五代が眠そうな表情で朝の挨拶を交わす。
「もうすぐ朝食の準備できますので顔洗ってきてくださいね」
響子さんが顔を赤くして五代に告げる。
「へーい」
五代が生返事をして起き上がり時間を確認する。
「!!」
五代はいつもより20分も早いことに気づくと、にやにやしながら顔を洗いにいくのであった……。


「ふふーん♪」
響子さんは鼻歌を歌いながら台所を片付けている。と、そこへ……。
「響子……」
いつのまにか部屋に戻ってきた五代が響子さんの肩に手を乗せ声をかける。
「あなた……」
響子さんは思わずドキッとする。
「今朝もきれいだね」
そういいながら五代は響子さんの昨夜のシャンプーのにおいが香る豊かな美しい髪をなでる。。
「いやだわ……先に食事をすませてからでしょ」
響子さんが照れながら五代を押し返す。
「オレは響子と結婚できて世界一の幸せものだよ……」
そういいながら五代は響子さんを強引に抱き寄せ口づけする。
「ん……」
響子さんも五代の口づけをおとなしく受け入れる。
もはや響子さんの体を知り尽くしている五代はまず甘い口づけで響子さんをその気にさせる。

五代は響子さんのpiyopiyoエプロンを剥ぎ取り響子さんのシャツの中に手を入れ胸を後ろからもみ始める。
「あ……」
いきなり胸をもみしだかれ響子さんが思わず声をあげる。
五代の期待通り響子さんはノーブラだ。
響子さんは自分から誘うときは下着をつけないようにしていた。
そのほうが五代が喜ぶことをしっているし行為がスムーズに進むからだ。

実は二人の新婚生活での夫婦の営みは夜ではなく朝行われていた。
夜五代が仕事から帰ってきた後だと住人が乱入してきて宴会になってしまうため男女の甘い雰囲気にはならない。
そのために考え出した苦肉の策であった。
しかし当然のことながら朝は出勤前で忙しい。
だから響子さんが誘うときは普段より少し早く五代を起こすことが二人の間で暗黙の了解になっていた。
今日は20分だから布団でじっくり愛し合うのではなく軽く満足させてあげればいいようだ。
響子さんは軽いものを望んでいるようだが五代は違った。
最近忙しくて1週間以上響子さんと関係を持っていない五代はじっくり愉しもうと思っていた。


2.

「ん……ああぁ……」
響子さんは結婚前から口づけに弱い。
五代に舌を吸われながら乳首を刺激されるとはやくも甘い声がもれはじめる。
「響子、朝から求めてくるなんて響子はほんとにエッチだね」
五代はいつものように言葉で響子を責めはじめる。
響子さんは五代と何度も愛し合ううちに言葉で卑猥なことをはっきりいわれると興奮してしまうことを五代に気づかれてしまっていた。
「あぁ……そんなことありま……んん」
五代は再度口づけし響子さんの反論を封じる。
「早く挿れてほしい……そうだよね?」
五代は響子さんの正面に回ると、硬くなりつつある五代自身を響子さんの秘所にスカートのうえからあてがって耳元で囁く。
「…………」
響子さんは赤くなって俯いたままなにもいえなくなってしまう。
「もう!時間ないんだから早くしてください!」
やられっぱなしの響子さんがなんとか流れを変えようとする。
しかし……
「何を早くして欲しい……?」
「もう…………エッチ!」
普段は五代を尻に敷いている響子さんであったが、エッチのときだけは完全に五代に主導権を握られてしまう。
結局五代に揚げ足を取られてしまい五代の手のひらの上であることを再度認識してしまうだけであった。

「響子、今日は胸で頼むよ」
五代は響子さんのシャツを脱がせながらいう。
「はい……」
上半身裸にされてしまった響子さんはひざ立ちになり五代のものを自慢の胸にはさむ。

(あぁ、裕作さんのこれ……とっても硬くて立派だわ。これがもうすぐ私の中に……)
響子さんは想像するだけで興奮してしまう。
しかし五代は腰に手をあて響子さんが自分に奉仕するのを見ているだけだ。
(この人いつまで自分だけ気持ちよくなるつもりかしら?それともまさかこのまま出して終わらせるつもり?そんなの絶対許さないんだから!)
と思いつつも響子さんは早く五代のものが欲しい。
結局響子さんは、乳首で五代のものを刺激したり、挟んだまま先っぽをなめたりして必死に奉仕することになるのであった。
「あぁ……響子、とっても気持ちいいよ……」
五代はいつものようにまずは響子さんの口に出して飲ませるつもりであったが、必死に奉仕する愛妻をそろそろ満足させてあげたくなってきていた。

3.

「じゃあ響子、そこに手をかけて」
五代が響子さんに指示をだす。
五代の意図を察した響子さんはスカートを脱ぎ、流しに手をかけてお尻を五代に向け足を開く。
「響子……手をかけてといっただけなのに……自分からスカートを脱いで……ほんとに欲しいんだね」
五代は容赦なく妻を責める。

(なんでもいいから早くいれてよ!)
まさかそんなことを口に出せない響子さんはもう黙ったままだ。
五代は響子さんの美しくくびれたウエストをつかみ挿入……・はしないで響子さんの反応をしばらくうかがう。

「えっ、何?」
いつもと違う夫の振る舞いを不審に思った響子さんが思わず声をだす。
五代は何も言わず響子さんの秘所の周りをあれでかるくなぞるだけだ。
(この人なにしてんの?)
響子さんは五代の意図がよめない。なんといっても響子さんの鈍さは筋金入りだ。
首をひねり五代と目が合うと五代はにっこりと笑う。
その笑顔に響子さんは五代の意図を悟る。
「……あなた……まさか……」
響子さんは呆然としてつぶやく。
「どうしたんだい響子?」
五代が意地悪く尋ねる。
「……あなた、いくらなんでも……ひどいわ……」
響子さんが泣きそうな顔で恨み言をいう。
「え、なんだって?」
五代はそ知らぬふりを装う。
結婚前に響子さんから嫉妬ややきもちで散々な目にあってきている五代はそのころの仕返しのつもりで響子さんをいじめる。

響子さんは五代が求めているセリフだけは言いたくない。
しかし響子さんの意思とは反対に肉体は完全に五代を求めてしまっている。

「……・しいの……」
響子さんは快楽への欲求に負け、蚊の泣くような声をだす。
「んー……よく聞こえないなぁ」
五代はとことん響子さんを追い詰める。

「調子に乗らないでよ!」
響子さんが怒りのあまり体を離そうとした瞬間、五代は響子さんを一気に貫く。
「くぅ……」
響子さんはその快感に思わずあえぎ声をあげる。
響子さんの反応を確認した五代は響子さんから五代自身を抜き、またもや秘所の周りをかるくなぞりはじめる。
「よく聞こえなかったからもう1回」
五代はなんとしても響子さんにはっきり求めて欲しかった。

一度は逃げかけた響子さんであったが、その快感を味わってしまっては抵抗できない。
結局観念して、声を震わせながら年下の夫に屈辱的なセリフを口にする。

「……裕作さんのが欲しいんです……早く挿れて……ください……」

響子さんははっきりと五代を求める言葉を口にする。
口に含むこと、精を飲み干すこと、胸ですること……。
夫は一度許すとほぼ毎回同じことを求めてくる。
これからは毎回はしたないセリフを言わされてしまうと思うと響子さんは悔しかった。
新しいことをやらされるたびに自分が夫の性のとりこになってしまっていることを嫌というほど思い知らされる。

「そうか、挿れて欲しいんだ」
五代は舌なめずりをしながらそうつぶやくと響子さんの内面の葛藤などお構いなしに一気に根元まで貫く。
「……!!」
その瞬間、響子さんは声にならない声をあげる。
「響子、ちゃんと言えたご褒美にたっぷりとかわいがってあげるよ」
五代はそういうと響子さんの反応を確かめながら腰を動かし始める。

(これよ、これが欲しかったの……)
響子さんは五代にはしたない言葉をいわさられたことなどすっかり忘れ快感を貪り食う。
「響子は本当にスケベだなぁ」
五代の言葉責めにも響子さんの興奮は最高潮に達しており、五代の声はもう耳に入らない。
響子さんの頭にあるのは快感に身を任せることだけ。

「もっと……もっと激しく……」
響子さんは無意識のうちに五代を求める発言を何度も繰り返す。
そんな響子さんの反応に五代も腰の動きを早める。


4.

さわやかな朝の空気が流れ込む管理人室に男女の荒い息遣いが響く。
五代は年上の美しい妻を自信を持って後ろから貫き、思い通りに屈服させその感触を愉しむ。
響子さんは年下の夫に好きなように征服されその被虐の快感に激しく身を焦がす。

「あなた……もうあたし……」
響子さんはもう立っているのもつらそうだ。
五代は両手で響子さんの両腕をそれぞれつかみ上体を少し起こす。
五代の腰の動きにあわせて響子さんの豊満な乳房が揺れる。

「あぁ……もう……駄目」
そうつぶやくと響子さんは快感に体を震わせながらゆっくりと意識を投げ出す。
「くっ……響子……」
五代も響子さんの最後の締め付けの前にあえなく精を放出する。

ドクドクッ。
響子さんの中に最後の一滴まで流し込み満足した五代は、意識がおぼつかない響子さんを優しく抱きとめる。
「響子、愛してるよ……」
五代は優しく囁くが響子さんはまだ正気に戻ってないのか耳に届いていないようだ。
五代はそのまま響子さんを抱き上げると布団まで連れて行く。


5.

(昼から二人でどこかに出かけよう)
五代は今日初めて有給休暇を使うことを決めていた。
(最近忙しくて全然響子に構ってやれなかった。大したことは何もしてやれないけど……どこかに行こうといったら響子は喜
ぶかな?それともそんなことで仕事休んじゃいけません!ってまた怒られるかな……?)
五代はそんなことを考えながら自分にはあまりに分不相応に美しくしっかり者の妻の顔を優しく見つめる。

「んん……」
響子さんが意識を取り戻したようだ。
「響子……」
五代は響子さんを抱きしめたまま声をかける。
響子さんは自分が布団に横になったまま夫に抱きしめられていることに気づく。
そして先ほど夫に抱かれたことを思い出すと同時にはっとして時計を見る。
信じがたいことに既に夫が出勤する時間はとっくに過ぎてしまっている。
「……あなた、時間大丈夫なの?」
響子さんは、少しうろたえながら夫の仕事を気にする。
「あぁ、そのことなんだけどさ……・」


管理人室の外から雀がそんな夫婦のやりとりを眺めている。
二人だけの休日はまだ始まったばかりだ……。

 


[完]


 

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